苦悩の平原を越えた絶望の城に、全ての願いを叶えてくれる地獄の魔女カーミラが住むという…。
しかし願いを叶えてもらった者は、必ず全ての幸福を失い、最も凄惨な最期をとげるという…。
時は中世ヨーロッパ、教会の鐘が夕刻を告げると共に、地下牢の囚人たちにも食事が配られた。
地下牢はカビ臭く、食事は貧相な物だったが、それでも囚人たちにとっては唯一気の休まる時間だった。
老人と共に一つの牢屋に入れられていた若者は、扉越しに渡される食事を受け取った。相部屋の老人にも食事を渡す。
「ほら、じいさん、あんたも早く食べようぜ」
その台詞に衛兵が一言つげた。
「そのじいさんは明日の朝には絞首刑さ…まぁせいぜい噛みしめて食うんだな」
老人はうつむいたまま何も言わず、全てを受け入れているようだった。
若者はどうしてよいのかわからず、とりあえず声をかけた。
「…そのなんだ、寂しくなっちまうな…、あんたからは色々な物語を話してもらったしな…。あの英雄の話なんて感動したよ…」
ただ若者は冷めた目で一言つぶやいた。
「でも、しょせん物語は現実とは違うのさ…」
しょせんは物語のように英雄になれるはずもない、結局は牢獄で暮らすことになってしまった、盗みを働くような下級の生活しか送れない若者は、噛みしめてそういった。
老人は若者を見つめると、言葉をひねり出すように告げた。
「短い間じゃったが、お前さんと過ごせて満足しておる…。だからあと一つ、「最後の物語」を聴いて欲しいんじゃ…」
若者はうなずいた。
そして老人は最後の物語を語り始めた…
「これは今までの物語の中で、最も罪深く、そして最も愛に溢れた話じゃ…」と。
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ニックネーム Alceste at 16:08
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The LAST ONE
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